【お心に沿う御法衣】鈴木法衣店お誂え事例 ー 明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟 ー
鈴木法衣店は、お客様お一人おひとりの想いに向き合い、お客様のご要望を伺い、それを御法衣というかたちに昇華させることが使命であると考えております。お客様のご要望に真摯に向き合うことは、私たちにとって何よりの喜びであり、学びであり、歩みの原動力です。
これからもお客様との良いご縁が繋がることを願い、この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」にて、お客様のご希望に沿ってお仕立てさせて頂きました13点のお誂え品をご紹介いたします。
こちらのコラムでは、板橋区安養院様様からご相談を頂戴しお仕立てしました、「明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟」をご紹介いたします。
「五大の象徴を織り込んで──信仰・構想・美術・織技が融合した無二の納衣七條」
明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟
お誂え品に込められたお客様の想いと、弊社のご提案
2008年11月、安養院様境内に建立された多宝塔五智如来の開眼法要を記念して、「後世に残る特別な納衣七條を仕立てたい」とのご相談をいただきました。ご住職様は、かねてより弊社でお仕立てした明綴七條の緻密な柄に強くご感銘を受けておられました。「文様に象徴的な意味を込め、明綴織の技術で織り上げる一領をつくりたい」──その強いご意向から、「安養院五大袈裟」という構想が生まれました。
ご住職様の構想に基づき、五大(地・水・火・風・空)を象徴する図案が、日本画家・山田真巳画伯によって描かれました。地はチベットの聖山カイラス山と冠鳩、水は蓮池、火は太陽、風は極楽鳥と蝶、空は大日如来を象徴する多宝塔。そのすべてが繊細な筆致により表現され、一つひとつに深い意味が託されていました。
描き上がった原画は、白布に実物大で出力。着装時に美しく文様が現れるよう、柄の位置を何度も微調整しながら配置を決定しました。明綴織の職人とも密に連携し、絵柄の流れや輪郭、色彩の濃淡までも忠実に再現。やり直しのきかない工程の中、一織り一織りに緊張感が宿る中で、唯一無二の御袈裟が形となりました。
完成した「安養院五大袈裟」は、信仰・構想・美術・織技のすべてが融合した一領となり、まさに祈りと芸術がひとつになった納衣でした。
すずきのお誂え後期
想い・構想・象徴を織り上げる、唯一無二の御袈裟のお仕立てをお手伝いいたします。
お仕立てギャラリー
五大の象徴文様を実寸大で配置確認し、明綴織で緻密に再現。構想を忠実に形にしました。
制作過程に用いた資料や織工程
その他のお誂え事例
この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」では、このほかにも様々な想いのこもったお客様からのご依頼品、お誂え品をご紹介させて頂きます。
それぞれのお仕立て事例の詳しいお話は、順次、特別コラムにてご紹介させて頂きます。既に公開済みのコラムは、商品名をクリックするとコラムページに遷移します。ぜひご覧ください。
<お誂え品>※お仕立て年月順
・白茶本手刺遠山台納戸塩瀬縁三層縫七條袈裟「師の姿を映す──敬仰の念から生まれた一領 」
・明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟「五大の象徴を織り込んで──信仰・構想・美術・織技が融合した無二の納衣七條」
・自坊で洗える折五條「酷暑に寄り添う──洗える折五條で、夏のご法務を快適に」
・白シルック紗台青磁金紗雨竜鳳凰刺繍入割切「施餓鬼の場にふさわしく──揃いの割切を長く、美しく」
・生平本麻(台鼠、縁千歳茶)九條袈裟「境内の面影を色に託して──支所の心をひとつに結ぶ九條袈裟」
・化繊縦絽 古義半帽子「夏の装いに、快適さと格式を──洗える帽子の素材提案」
・弘法大師御生誕1250年記念七條袈裟「下絵から創作ーーー弘法大師御生誕1250年記念七條」
・冬赤金通唐花(蔓葉部分緑色)輪違五七桐紋白五條「弘法大師生誕1250年を彩る、千葉五号支所様だけの揃い袈裟」
・寺紋+菊三諦章刺繍如法衣 北斗七星デザイン「信念を描く北斗七星──寺紋を纏う如法衣」
・祈りの桜染褊衫「想いを紡ぎ、祈りを染めてーーー森羅万象の美しき桜染褊衫」
<御法衣のリメイク・アップサイクル>
・直綴から座具「二領の直綴を未来へ──志を宿す座具としての再生」
・帯から地蔵袈裟「想いの帯を纏う──家族の記憶を祈りへ昇華した地蔵袈裟」
・御法衣からトレンチコート・紳士ジャケット「祈りを纏い直す──御法衣から生まれ変わるアップサイクルのかたち」
「伝統と革新」展のお知らせ
この度、大本山護国寺様内 月光殿を拝借して「伝統と革新展」を開催します。
この連続コラムでご紹介させて頂きましたお品は、本展における「歩みの間」という、弊社の創業から今日までの歩みの中でお仕立てさせて頂いた逸品の御法衣をご紹介する「間」にて、実物をお客様から大切に拝借し、設えさせて頂きます。
是非お立ち寄り頂き、お客様の想いのこもった品々を、直接ご覧いただけますと幸いです。
「伝統と革新展」概要
1) 日時:2025年 6月26日(木)・27日(金)・28(土)
10時~16時 (28日のみ15時まで)
2) 場所:真言宗豊山派大本山 護國寺様内
月光殿(国指定重要文化財)
■アクセス
【電車】東京メトロ有楽町線「護国寺駅」下車1番出口すぐ
【お車】首都高速5号線「護国寺出口」すぐ
駐車場:①月光殿前(無料)台数に限りがございます ②護国寺様内タイムス駐車場(有料)
3) ご挨拶とプレゼンテーション・・・代表取締役 鈴木貴央より
テーマ:【伝統と革新】
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