【お心に沿う御法衣】鈴木法衣店お誂え事例 ー <リメイク>帯から地蔵袈裟 ー
鈴木法衣店は、お客様お一人おひとりの想いに向き合い、お客様のご要望を伺い、それを御法衣というかたちに昇華させることが使命であると考えております。お客様のご要望に真摯に向き合うことは、私たちにとって何よりの喜びであり、学びであり、歩みの原動力です。
これからもお客様との良いご縁が繋がることを願い、この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」にて、お客様のご希望に沿ってお仕立てさせて頂きました13点のお誂え品をご紹介いたします。
また鈴木法衣店では、お客様のご要望に寄り添い、素材の持ち味や背景にある物語を大切にしながら、「リメイク」や「アップサイクル」のご提案も行っております。
単に仕立て直すのではなく、その奥にある思いを共有させていただくなかで、御法衣と向き合う尊さをあらためて実感させていただいた3つの事例をご紹介させて頂きます。
こちらのコラムでは、港区 延命院様からご相談を頂戴しお仕立て直し致しました、「帯から地蔵袈裟」のアップサイクルをご紹介いたします。
「想いの帯を纏う──家族の記憶を祈りへ昇華した地蔵袈裟」
帯から地蔵袈裟
お誂え品に込められたお客様の想いと、弊社のご提案
「この帯を使って、地蔵袈裟に仕立てることはできませんか」──ご住職様より、そうご相談を頂戴したのは、ご家族の深い想いがこもった二つの帯でした。一つは御祖父様である渡辺照宏大僧正の奥様が獅子の日本刺繍を施された帯。
もう一つは、ご住職様のお母様が妹様から譲り受けて大切にされていたという螺鈿の帯。どちらも、長きにわたり家族の御手と御心を通じて大切に守られてきたものです。
この大切な帯を、新たなかたちで息づかせる──そんな思いを形にする初めての試みとして、私たちは地蔵袈裟への仕立てをお手伝いさせていただきました。
帯に施された刺繍や意匠を一つひとつ丁寧に確認し、それぞれの模様が最も美しく生きるように、台中や釈迦台への配置を徹底的に検討。単なる再利用ではなく、想いが自然に調和するかたちを追求いたしました。
ご住職様は、仕立て上がった地蔵袈裟をご覧になり「ここぞという時に纏うと、母と祖母に護られている感覚を受け、心細い時には、お二人の力を背中に感じる」のだとお話しくださいました。
御家族の想いと記憶が息づくその一領は、ご住職様にとって、まさに祈りの源そのものなのだと、私たちも深く感じたご縁でした。
すずきのお誂え後期
想い入れのある帯やお着物を御法衣へと仕立て替えるご相談も承っております。
お仕立てギャラリー
帯に施された刺繍の意匠を汲み取り、最適な配置となるよう徹底的にこだわりました。
お預かりした2枚の大切な帯
その他のお誂え事例
この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」では、このほかにも様々な想いのこもったお客様からのご依頼品、お誂え品をご紹介させて頂きます。
それぞれのお仕立て事例の詳しいお話は、順次、特別コラムにてご紹介させて頂きます。既に公開済みのコラムは、商品名をクリックするとコラムページに遷移します。ぜひご覧ください。
<お誂え品>※お仕立て年月順
・白茶本手刺遠山台納戸塩瀬縁三層縫七條袈裟「師の姿を映す──敬仰の念から生まれた一領 」
・明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟「五大の象徴を織り込んで──信仰・構想・美術・織技が融合した無二の納衣七條」
・自坊で洗える折五條「酷暑に寄り添う──洗える折五條で、夏のご法務を快適に」
・白シルック紗台青磁金紗雨竜鳳凰刺繍入割切「施餓鬼の場にふさわしく──揃いの割切を長く、美しく」
・生平本麻(台鼠、縁千歳茶)九條袈裟「境内の面影を色に託して──支所の心をひとつに結ぶ九條袈裟」
・化繊縦絽 古義半帽子「夏の装いに、快適さと格式を──洗える帽子の素材提案」
・弘法大師御生誕1250年記念七條袈裟「下絵から創作ーーー弘法大師御生誕1250年記念七條」
・冬赤金通唐花(蔓葉部分緑色)輪違五七桐紋白五條「弘法大師生誕1250年を彩る、千葉五号支所様だけの揃い袈裟」
・寺紋+菊三諦章刺繍如法衣 北斗七星デザイン「信念を描く北斗七星──寺紋を纏う如法衣」
・祈りの桜染褊衫「想いを紡ぎ、祈りを染めてーーー森羅万象の美しき桜染褊衫」
<御法衣のリメイク・アップサイクル>
・直綴から座具「二領の直綴を未来へ──志を宿す座具としての再生」
・帯から地蔵袈裟「想いの帯を纏う──家族の記憶を祈りへ昇華した地蔵袈裟」
・御法衣からトレンチコート・紳士ジャケット「祈りを纏い直す──御法衣から生まれ変わるアップサイクルのかたち」
「伝統と革新」展のお知らせ
この度、大本山護国寺様内 月光殿を拝借して「伝統と革新展」を開催します。
この連続コラムでご紹介させて頂きましたお品は、本展における「歩みの間」という、弊社の創業から今日までの歩みの中でお仕立てさせて頂いた逸品の御法衣をご紹介する「間」にて、実物をお客様から大切に拝借し、設えさせて頂きます。
是非お立ち寄り頂き、お客様の想いのこもった品々を、直接ご覧いただけますと幸いです。
「伝統と革新展」概要
1) 日時:2025年 6月26日(木)・27日(金)・28(土)
10時~16時 (28日のみ15時まで)
2) 場所:真言宗豊山派大本山 護國寺様内
月光殿(国指定重要文化財)
■アクセス
【電車】東京メトロ有楽町線「護国寺駅」下車1番出口すぐ
【お車】首都高速5号線「護国寺出口」すぐ
駐車場:①月光殿前(無料)台数に限りがございます ②護国寺様内タイムス駐車場(有料)
3) ご挨拶とプレゼンテーション・・・代表取締役 鈴木貴央より
テーマ:【伝統と革新】
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