【お心に沿う御法衣】鈴木法衣店お誂え事例 ー <リメイク>御法衣からトレンチコート・ジャケットー

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鈴木法衣店は、お客様お一人おひとりの想いに向き合い、お客様のご要望を伺い、それを御法衣というかたちに昇華させることが使命であると考えております。お客様のご要望に真摯に向き合うことは、私たちにとって何よりの喜びであり、学びであり、歩みの原動力です。

これからもお客様との良いご縁が繋がることを願い、この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」にて、お客様のご希望に沿ってお仕立てさせて頂きました13点のお誂え品をご紹介いたします。

また鈴木法衣店では、お客様のご要望に寄り添い、素材の持ち味や背景にある物語を大切にしながら、「リメイク」や「アップサイクル」のご提案も行っております。
単に仕立て直すのではなく、その奥にある思いを共有させていただくなかで、御法衣と向き合う尊さをあらためて実感させていただいた3つの事例をご紹介させて頂きます。

こちらのコラムでは、豊島区 金剛院 名誉住職様からご相談を頂戴しお仕立て直し致しました、「御法衣からトレンチコート・ジャケット」のアップサイクルをご紹介いたします。

「祈りを纏い直す──御法衣から生まれ変わるアップサイクルのかたち」
御法衣からトレンチコート・ジャケット

お誂え品に込められたお客様の想いと、弊社のご提案

ご住職さまをご勇退されてから檀務をすることも少なくなり、ご着用されなくなった御法衣の扱いに困っていらっしゃいました。

現ご住職さまとはおサイズも違い、一部は縁の深い方々に付嘱もされたそうですが、祈りの籠もった多くの御法衣を簡単に廃棄することには抵抗があるとお気持ちを伺いました。

その中で、地球や自然環境に対する取り組みなど、個人のみならず企業の意識が変化してゆく時代にあって、「アップサイクル」という今あるものから、新しい価値を見いだすことが御法衣でもできればと思い、直綴や改良服から現代的なコートへと仕立て替えるご発想に至られたそうです。
御袈裟には様々な意味づけもあり、簡単に改新はできませんが、職方さんが精魂を込めて作り上げた直綴や改良服等で、祈りの中で香りが染みついた「素材」としてそれを活かす手法であれば、仏様にもお許しを頂けるのではないか——そんなお考えを丁寧にお話しくださいました。
また着用しなくなった御法衣をどうするのかは、各お寺様の悩みの一つでもあり、故人になられた先代さまの想いを後世に伝えられる貴重な方向づけでもあるとのお考えをお聞かせいただきました。
たまたま、今回のリメイクはコート等へのご希望でしたが、これから先、さまざまな想いとかたちが生まれてゆく可能性があるのではないかと、おっしゃいます。

お仕立てさせて頂くにあたり、まず弊社にはこれまでに洋装仕立ての経験はなく、会社として前例のない未知の領域を開拓する為、様々な方にご協力を頂きながら進めました。
洋裁と和裁は、裁断と縫製に決定的な違いがあります。洋裁は型紙を使って曲線裁断するのに対して和裁は反物から直線的に裁断します。縫製に関しての違いも、洋裁は身体に合わせた縫製が必要なため曲線的・立体的な縫製となりますが、 和裁は直線的・平面的な縫い合わせで着方や紐で着心地を調整します。

お話しを進めるなかで、趣味や嗜好からお客様のお好みを細かく汲み取り、何がお好きなのかを読み取ることにも注力しました。
業界で前例のない取り組みだった為、参考資料も無く困難を極めましたが、お客様の想いをかたちにしたいその一心で、あらゆる業種の方にもお力添えを頂きながらお仕立てを進めることができたお品です。

すずきのお誂え後期

御法衣に宿る想いを未来へ繋ぐ、新しい「纏い直し」のかたちをご提案します。

お仕立てギャラリー

直綴をコートに、改良服をジャケットへ。御法衣に込められた想いと記憶をそのまま活かしました。

その他のお誂え事例

この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」では、このほかにも様々な想いのこもったお客様からのご依頼品、お誂え品をご紹介させて頂きます。
それぞれのお仕立て事例の詳しいお話は、順次、特別コラムにてご紹介させて頂きます。既に公開済みのコラムは、商品名をクリックするとコラムページに遷移します。ぜひご覧ください。

<お誂え品>※お仕立て年月順

白茶本手刺遠山台納戸塩瀬縁三層縫七條袈裟「師の姿を映す──敬仰の念から生まれた一領 」
明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟「五大の象徴を織り込んで──信仰・構想・美術・織技が融合した無二の納衣七條」
自坊で洗える折五條「酷暑に寄り添う──洗える折五條で、夏のご法務を快適に」
白シルック紗台青磁金紗雨竜鳳凰刺繍入割切「施餓鬼の場にふさわしく──揃いの割切を長く、美しく」 
生平本麻(台鼠、縁千歳茶)九條袈裟「境内の面影を色に託して──支所の心をひとつに結ぶ九條袈裟」 
化繊縦絽 古義半帽子「夏の装いに、快適さと格式を──洗える帽子の素材提案」 
弘法大師御生誕1250年記念七條袈裟「下絵から創作ーーー弘法大師御生誕1250年記念七條」 
冬赤金通唐花(蔓葉部分緑色)輪違五七桐紋白五條「弘法大師生誕1250年を彩る、千葉五号支所様だけの揃い袈裟」 
寺紋+菊三諦章刺繍如法衣 北斗七星デザイン「信念を描く北斗七星──寺紋を纏う如法衣」 
祈りの桜染褊衫「想いを紡ぎ、祈りを染めてーーー森羅万象の美しき桜染褊衫」 

<御法衣のリメイク・アップサイクル>

直綴から座具「二領の直綴を未来へ──志を宿す座具としての再生」 
帯から地蔵袈裟「想いの帯を纏う──家族の記憶を祈りへ昇華した地蔵袈裟」 
御法衣からトレンチコート・紳士ジャケット「祈りを纏い直す──御法衣から生まれ変わるアップサイクルのかたち」 

「伝統と革新」展のお知らせ

この度、大本山護国寺様内 月光殿を拝借して「伝統と革新展」を開催します。
この連続コラムでご紹介させて頂きましたお品は、本展における「歩みの間」という、弊社の創業から今日までの歩みの中でお仕立てさせて頂いた逸品の御法衣をご紹介する「間」にて、実物をお客様から大切に拝借し、設えさせて頂きます。
是非お立ち寄り頂き、お客様の想いのこもった品々を、直接ご覧いただけますと幸いです。

「伝統と革新展」概要

1) 日時:2025年 6月26日(木)・27日(金)・28(土)  
  10時~16時 (28日のみ15時まで)

2) 場所:真言宗豊山派大本山 護國寺様内
  月光殿(国指定重要文化財)

■アクセス
【電車】東京メトロ有楽町線「護国寺駅」下車1番出口すぐ
【お車】首都高速5号線「護国寺出口」すぐ
駐車場:①月光殿前(無料)台数に限りがございます    ②護国寺様内タイムス駐車場(有料)

3) ご挨拶とプレゼンテーション・・・代表取締役 鈴木貴央より
  テーマ:【伝統と革新】

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大本山護國寺月光殿 「伝統と革新展」のご案内

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