
【お心に沿う御法衣】鈴木法衣店お誂え事例 ー 化繊縦絽 古義半帽子 ー
鈴木法衣店は、お客様お一人おひとりの想いに向き合い、お客様のご要望を伺い、それを御法衣というかたちに昇華させることが使命であると考えております。お客様のご要望に真摯に向き合うことは、私たちにとって何よりの喜びであり、学びであり、歩みの原動力です。
これからもお客様との良いご縁が繋がることを願い、この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」にて、お客様のご希望に沿ってお仕立てさせて頂きました13点のお誂え品をご紹介いたします。
こちらのコラムでは、寒川町 安楽寺様からご相談を頂戴しお仕立てしました、「化繊縦絽 古義半帽子」をご紹介いたします。
「夏の装いに、快適さと格式を──洗える帽子の素材提案」
化繊縦絽 古義半帽子
お誂え品に込められたお客様の想いと、弊社のご提案
高野山真言宗様では、夏場であっても帽子の着用が求められることがございます。そうした中、「暑い時期でも扱いやすく、繰り返し洗える帽子を用意したい」とのご相談を頂戴いたしました。特に帽子は首元に直接触れるもの。汗ジミや不快感、衛生面でのご心配は当然のことと拝察いたしました。
またご依頼者様は、常に「見られる立場」であることを強く意識されており、首元の印象、見た目の美しさには特に明確なお考えをお持ちでした。一方で、近年の異常な酷暑の中では、従来の素材だけではご希望にお応えすることが難しい状況でした。
そのような状況において、「軽くて涼しく、肌触りが良い」ことと、「見た目の格式」を両立できる素材選びは、まさに今の時代に求められている課題でもありました。
当初、ご相談には「これが正解」という明確な答えがあるわけではなく、まさに一から模索を始める取り組みとなりました。通気性、涼感、肌ざわり、ハリ感など、特性の異なる夏素材をできる限り多くご用意し、お客様に一つひとつ比較いただきながら、ご所望の着用感と使用環境に適した生地をともに探してまいりました。
そうした中でたどり着いたのが、縦絽(たてろ)という夏用素材でした。軽く、肌触りがよく、そして見た目に涼やかであるだけでなく、繰り返し洗える実用性にも優れていることから、「これなら洗えて扱いやすそう」とご納得をいただくことができました。さまざまな生地の中からご依頼者様のご希望に適した生地を見つけることができたことで、快適性と実用性の両立を図れたのではないかと感じております。
完成後、実際のご使用のなかで「使い心地も思った通りで、非常に重宝している」とのお声をお聞かせくださり、お客様のご要望に微力ながらお力添えできたことを大変光栄に思います。この帽子をご納品してから数年が経過した今も、美しい白さが保たれておりました。
今回のご相談を通じて、「これまでにないニーズ」「今だからこそ生まれるお客様のご要望」に対する率先した気づきと提案の積み重ねこそが、私たち法衣店にできる一つの務めであると、改めて実感した経験でもありました。
すずきのお誂え後期
ご用途やご体感に応じた素材選びも、豊富な提案でお手伝いいたします。
お仕立てギャラリー
通気性や肌ざわりなど多様な素材を比較し、最適な一枚をご提案。
その他のお誂え事例
この連続コラム「お心に沿う御法衣 鈴木法衣店お誂え事例集」では、このほかにも様々な想いのこもったお客様からのご依頼品、お誂え品をご紹介させて頂きます。
それぞれのお仕立て事例の詳しいお話は、順次、特別コラムにてご紹介させて頂きます。既に公開済みのコラムは、商品名をクリックするとコラムページに遷移します。ぜひご覧ください。
<お誂え品>※お仕立て年月順
・白茶本手刺遠山台納戸塩瀬縁三層縫七條袈裟「師の姿を映す──敬仰の念から生まれた一領 」
・明綴別織多宝塔台古代紫ブドウ唐花縁七條袈裟「五大の象徴を織り込んで──信仰・構想・美術・織技が融合した無二の納衣七條」
・自坊で洗える折五條「酷暑に寄り添う──洗える折五條で、夏のご法務を快適に」
・白シルック紗台青磁金紗雨竜鳳凰刺繍入割切「施餓鬼の場にふさわしく──揃いの割切を長く、美しく」
・生平本麻(台鼠、縁千歳茶)九條袈裟「境内の面影を色に託して──支所の心をひとつに結ぶ九條袈裟」
・化繊縦絽 古義半帽子「夏の装いに、快適さと格式を──洗える帽子の素材提案」
・弘法大師御生誕1250年記念七條袈裟「下絵から創作ーーー弘法大師御生誕1250年記念七條」
・冬赤金通唐花(蔓葉部分緑色)輪違五七桐紋白五條「弘法大師生誕1250年を彩る、千葉五号支所様だけの揃い袈裟」
・寺紋+菊三諦章刺繍如法衣 北斗七星デザイン「信念を描く北斗七星──寺紋を纏う如法衣」
・祈りの桜染褊衫「想いを紡ぎ、祈りを染めてーーー森羅万象の美しき桜染褊衫」
<御法衣のリメイク・アップサイクル>
・直綴から座具「二領の直綴を未来へ──志を宿す座具としての再生」
・帯から地蔵袈裟「想いの帯を纏う──家族の記憶を祈りへ昇華した地蔵袈裟」
・御法衣からトレンチコート・紳士ジャケット「祈りを纏い直す──御法衣から生まれ変わるアップサイクルのかたち」
「伝統と革新」展のお知らせ
この度、大本山護国寺様内 月光殿を拝借して「伝統と革新展」を開催します。
この連続コラムでご紹介させて頂きましたお品は、本展における「歩みの間」という、弊社の創業から今日までの歩みの中でお仕立てさせて頂いた逸品の御法衣をご紹介する「間」にて、実物をお客様から大切に拝借し、設えさせて頂きます。
是非お立ち寄り頂き、お客様の想いのこもった品々を、直接ご覧いただけますと幸いです。
「伝統と革新展」概要
1) 日時:2025年 6月26日(木)・27日(金)・28(土)
10時~16時 (28日のみ15時まで)
2) 場所:真言宗豊山派大本山 護國寺様内
月光殿(国指定重要文化財)
■アクセス
【電車】東京メトロ有楽町線「護国寺駅」下車1番出口すぐ
【お車】首都高速5号線「護国寺出口」すぐ
駐車場:①月光殿前(無料)台数に限りがございます ②護国寺様内タイムス駐車場(有料)
3) ご挨拶とプレゼンテーション・・・代表取締役 鈴木貴央より
テーマ:【伝統と革新】